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インド生まれの伝統医療・アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダは、インドという国がもつ謎めいた雰囲気から、不思議なセラピーだと思われることも多いようですが、実はインドに5000年前から伝わる生き方の哲学を備え、心身の健康状態の診断・薬草処方・養生法・オイルマッサージを初めとする多彩なトリートメント技術がしっかりとくみ上げられた、大変高度な学問です。

インドの文化としてよく耳にする「ヨガ」や「インド占星術」も、アーユルヴェーダと深く関わっています。健康のために、養生法として指導されたり、個人の体質診断や、病気や不調の治療として活用される他、占いでは、様々な出来事がその人にとってどういう状況や意味合いで起こっているかを知るために用いられることもあります。アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で「アーユス=生命」+「ヴェーダ=智慧」を意味する、深遠なる学問体系なのです。

美容・エステとして急速に広まったアーユルヴェーダ

街でもインターネットでも、アーユルヴェーダの美しくゴージャスな雰囲気の広告を見かけることが多くなりました。アーユルヴェーダという言葉自体はかなり広まったように見受けられます。

エステ業界でのアーユルヴェーダの代表的イメージは、美しい女性の額にスルスルとオイルを滴らせ、脳を落ち着かせる作用のある施術「シロダーラ」。医療としてのアーユルヴェーダとは雰囲気が異なり、多くの場合、厚手のバスタオルに胸元やベッドを覆って、オシャレで贅沢な印象を与えます。

しかし本来は、アーユルヴェーダのトリートメントは医療目的や健康維持のために行われます。診断と施術内容の決定は、アーユルヴェーダ・ドクターが行うもので、施術を受ける人が選ぶものではありません。

アーユルヴェーダ・ドクターとは

インドではアーユルヴェーダ診療を行う医師は、アーユルヴェーダ・ドクターとして高度な専門教育を受けています。アーユルヴェーダ・ドクターの資格は「BAMS(Bachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery)」と呼ばれ、1年のインターン経験をを含む5年半を、アーユルヴェーダ専門の大学で学び修めなくてはなりません。

これは西洋医学ドクターを目指して医学部で学ぶのと同じ年数です。すなわちインドではアーユルヴェーダは西洋医学を補完する医療ではなく、等しく医療としてとらえられているということです。

アーユルヴェーダの文献は、原典がサンスクリットという古典語で記されているため、大学ではサンスクリットの学習から始め、古典や哲学を学ぶ時間が多く含まれます。すなわち、アーユルヴェーダ・ドクターは、単なる身体の表面に現れ出た病気を治すだけの医者だとはされていないのです。人間の全体性をみつめるのがアーユルヴェーダ・ドクターなのです。

南インドでは、先祖代々アーユルヴェーダ・ドクターであるというファミリーも多く、南インドの豊かな自然のなか滞在しながら治療できる診療施設をはじめ、食養生に用いられる新鮮な野菜やスパイス、処方される薬草をとるための大自然にある薬草園などが受け継がれてきました。

個人経営の医院だけでなく、近代的なアーユルヴェーダ病院の中にも、神々を祀った寺院を併設するところがあり、アーユルヴェーダが何を重んじる医学体系であるのかを窺い知ることができます。

かつてのインドでは、アーユルヴェーダは高度な学問を修めた僧侶階級の仕事であり、人間の心と身体をばらばらにとらえず「魂」までをも含めた大きな全体性として見ていした。僧侶たちは奉仕の精神で、無償で治療を施していた時代があり、病院の中には、今でも、経済的に恵まれない人たちに無料や格安の料金で医療を提供するところがあります。

西洋医学を柔軟に取り入れ、進化するアーユルヴェーダ

心・身体・魂、人間の全体をとらえるアーユルヴェーダは、それらを別々にとり扱おうとする西洋医学とは異った考え方を持っています。とはいえ、アーユルヴェーダは西洋医学を否定するものではありません。大学でのアーユルヴェーダの履修課程でも、西洋医学を積極的に学びますし、精密検査や、西洋医学による診断などの情報も大いに活用します。

そして、患者の病気や、病気とまでは呼べないけれども辛い症状や、小さな不調の根本原因が、その人のどこにあるのかを見極めます。そして、回復に導くために、オイルを用いた独自の施術をはじめ、ハーブから作る薬の処方や生活全般の指導などを行います。

インド武術カラリパヤットゥ、ヨガ、インド占星術とアーユルヴェーダ

 アーユルヴェーダは「カラリパヤットゥ」と呼ばれるインド武術とその考えを同じにしています。武術と医療は一見、殺す技術と生かす技術で正反対のものに見えますが、実は、武術に強くなるためには人間の弱点を見極めることが必要なのです。弱点とは、一撃すれば効果的にダメージを与えられるポイント。すなわち生命エネルギーの集まるところ、急所。それは逆に、大切にいたわれば元気を素早く取り戻すことができるポイントでもあります。男性だけが行うフットマッサージという施術では、セラピストはカラリパヤットの訓練を受けています。

ヨガ(ヨーガ)は養生法として積極的にアーユルヴェーダにおいて指導されます。インドでの滞在型のリトリートでは毎朝ヨガの時間があります。

そして、インド占星術は、人間という存在が宇宙と呼応して生きている存在であることを教え、その病気や不調が惑星や星々の影響下に起こったものであるか、また、個人にどのような体質の影響が根本的に与えられているのかなどを診断する方法のひとつとして用いられます。

このように、インド古来の生活に関わるすべてのものは、根本でしっかりと繋がっているのです。アーユルヴェーダが、時を越えて伝承されてきた深い学問であることがおわかり頂けると思います。